ついに発表されたCanon EOS R6 Mark III。従来モデルから順当な進化を遂げた本機ですが、R6やR6 Mark IIと比べて本当に買い替える価値はあるのでしょうか?
この記事では、画素数の変化、動画性能の進化、操作感の違いなど、気になるポイントを徹底比較。R5やR8との違いも解説しながら、あなたにとって最適な一台がどれかを見極めるヒントを提供します。
この記事でわかること:
- EOS R6 Mark IIIの進化ポイントとスペック詳細
- R6・R6 Mark IIとの違いと操作性の変化
- R5・R8との価格・性能のバランス比較
- 使用目的別に見るおすすめモデルの選び方
R6 Mark IIIの進化ポイントとは?

R6 Mark IIIは、キヤノンのフルサイズミラーレスの中でも“万能型”として位置づけられるモデルです。これまでのR6シリーズが「バランス型・オールラウンダー」として評価されてきた流れを汲みつつ、画素数の向上、連写性能の強化、そして動画機能の拡張という3つの方向で進化しています。
ただし、これらのアップデートはすべてのユーザーにとって「完全な上位互換」とは限りません。用途や撮影スタイルによって“最適解”が変わるのが、今回のR6 Mark IIIの特徴でもあります。
ここでは、実際のユーザー視点で見たときの進化点と注意点を、3つの観点から詳しく掘り下げていきます。
画素数アップとその影響:メリットとデメリット
R6 Mark IIIの最大の変化点は、センサーの画素数が約3,000万画素へと引き上げられたことです。従来モデルであるR6(約2,010万画素)やR6 Mark II(約2,420万画素)と比較すると、約1.5倍の高解像化が実現しました。これにより、トリミング耐性が大きく向上し、ポスター印刷や商品撮影など、細部の描写力が重要なシーンで力を発揮します。
| モデル名 | 有効画素数 | 高感度耐性(体感) | 解像感 |
|---|---|---|---|
| EOS R6 | 約2,010万画素 | ★★★★★ | ★★★☆☆ |
| EOS R6 Mark II | 約2,420万画素 | ★★★★☆ | ★★★★☆ |
| EOS R6 Mark III | 約3,000万画素 | ★★★☆☆ | ★★★★★ |
ただし、画素数アップには明確なデメリットも存在します。画素が細かくなる分、1画素あたりの受光面積が小さくなり、高感度撮影時のノイズ耐性が低下する傾向があります。つまり、暗所撮影や夜景撮影を重視するユーザーにとっては、従来のR6の方が扱いやすい場面もあるということです。
結果として、R6 Mark IIIは「より解像感を求めるユーザー」には最適ですが、「高感度に強い万能機」を求める層には微妙な立ち位置になるかもしれません。このバランスは、撮影対象が“静物中心”か“動体中心”かで大きく評価が分かれるポイントです。
高速連写と電子シャッター性能の実用性
R6 Mark IIIは電子シャッターで最大40コマ/秒という驚異的な連写速度を実現しました。これはR6 Mark IIと同等の数値ですが、内部処理エンジンの最適化により、バッファが拡大し、CFexpressカードに対応した点が大きな違いです。
| モデル | 電子シャッター連写速度 | 対応メディア | ブラックアウトフリー |
|---|---|---|---|
| EOS R6 | 約20コマ/秒 | SDカード | 非対応 |
| EOS R6 Mark II | 約40コマ/秒 | SDカード | 非対応 |
| EOS R6 Mark III | 約40コマ/秒 | CFexpress / SD | 非対応(積層センサー非搭載) |
これにより、R6 Mark IIIは実用連写時間が長く、撮影の安定性が向上しています。ただし、R3やR5 Mark IIのように積層型センサーを採用していないため、電子シャッター使用時のローリングシャッター歪みは依然として発生します。高速移動する被写体や車両撮影などでは、被写体がわずかに傾くような描写になる場合もあるため注意が必要です。
また、ブラックアウトフリー撮影に非対応な点は、プロのスポーツフォトグラファーにとってはややマイナスかもしれません。とはいえ、R6 Mark IIIは「プロのサブ機」や「趣味でスポーツや動物を撮る人」にとって、コストと性能のバランスが非常に優れた選択肢です。
動画機能の強化とプロ用途への可能性
動画性能の進化もR6 Mark IIIの大きなトピックです。今回から4K/120fps撮影に対応し、スローモーション撮影の自由度が飛躍的に高まりました。また、Full HDでは240fpsにも対応し、滑らかで印象的なスローモーション映像を実現します。
| モデル | 最大動画解像度 | フレームレート | 主な新機能 |
|---|---|---|---|
| EOS R6 | 4K 60fps | 最大60fps | 標準的な動画性能 |
| EOS R6 Mark II | 4K 60fps (オーバーサンプリング) | 最大60fps | クロップなし4K |
| EOS R6 Mark III | 4K 120fps | 最大240fps (FHD) | プリ撮影・CFexpress対応 |
さらに、プリ撮影機能の搭載によって、録画ボタンを押す前の数秒を自動的に記録できるようになり、決定的瞬間を逃さずに撮影できます。動画クリエイターやVlog用途にも最適なアップデートといえるでしょう。
ただし、ボディの発熱問題やバッテリー消費の速さは引き続き課題として残っています。特に4K/120fpsのような高負荷撮影を長時間続ける場合、冷却対策や予備バッテリーが必須です。したがって、R6 Mark IIIは「静止画も動画も両立させたいハイブリッドユーザー向け」のモデルとして最もバランスが取れています。
R6・R6 Mark IIと比べた使い勝手の変化

R6 Mark IIIは、従来のR6シリーズを使ってきたユーザーにとっては「馴染みのある操作感」を維持しながらも、細かな部分でアップデートが施されています。今回のモデルチェンジでは、基本的なボディデザインやボタン配置は大きく変わらず、これまでのユーザーでも違和感なく移行できる点が特徴です。
ただし、重量の増加や発熱設計、操作メニューの反応速度、そしてAF性能の進化など、体感的な「使い勝手」は細部で異なります。ここでは「操作感」「AF精度」「UI設計」の3つに焦点を当て、R6・R6 Mark IIとR6 Mark IIIの違いを詳しく見ていきましょう。
ボディサイズ・重量の違いがもたらす操作感
R6 Mark IIIのボディは、見た目こそR6/R6 Mark IIとほとんど同じですが、内部構造の変更により若干の重量増加があります。この差は数十グラムのレベルですが、長時間の撮影や動画収録においては「ずっしり感」として体感される可能性があります。
| モデル名 | 外形寸法(mm) | 質量(バッテリー・SD含) | 体感差 |
|---|---|---|---|
| EOS R6 | 138.4×97.5×88.4 | 約680g | 軽快でバランス良 |
| EOS R6 Mark II | 138.4×98.4×88.4 | 約670g | やや軽量化 |
| EOS R6 Mark III | 139.0×99.2×89.0 | 約710g | 安定感あるが重さを感じる |
手持ち撮影が多いユーザーにとっては、わずかでも重量増が負担になる場合がありますが、その分、グリップ感や安定性が増しているという声もあります。特に望遠レンズとのバランスは良くなっており、三脚なしの撮影でもしっかり構えられる印象です。
AF性能・人物認識精度の進化はどこまで?
R6 Mark IIIは、AIディープラーニングによる被写体検出アルゴリズムを継続的に改善しており、AF精度は着実に向上しています。ただし、「DIGIC Accelerator」が非搭載という点では、R5 Mark IIやR3に比べるとリアルタイム処理能力で劣る部分もあります。
| モデル | AF被写体検出 | 人物認識 | DIGIC Accelerator |
|---|---|---|---|
| EOS R6 | 人物・動物 | 目検出あり | 非搭載 |
| EOS R6 Mark II | 人物・動物・乗り物 | 瞳検出の精度向上 | 非搭載 |
| EOS R6 Mark III | 人物・動物・車・列車・飛行機 | 顔登録による追従性能向上 | 非搭載 |
特筆すべきは、顔登録機能により、複数の人物がいるシーンでも狙った被写体を優先的に追尾できるようになった点です。これにより、ポートレート撮影やブライダル撮影ではAFの迷いが減り、構図に集中しやすくなります。
ただし、動体追従性能の伸び幅はR6 Mark IIと比較して“劇的”というほどではなく、細かくチューニングされた正常進化という印象です。DIGIC Accelerator非搭載による処理の遅れを感じる場面もほとんどなく、実用上は大きな問題はないでしょう。
UIやボタン配置に変化は?継続使用者の視点
R6 Mark IIIの操作ボタンレイアウトやメニュー構成は、R6 Mark IIからほぼ据え置きです。そのため、既存ユーザーは違和感なく移行できるというメリットがあります。
| 項目 | R6 / R6 Mark II | R6 Mark III | 変更点 |
|---|---|---|---|
| AF-ON/Joystick | 右手親指位置 | 同上 | 配置変化なし |
| モードダイヤル | 物理式 | 同上 | 回転トルクのみ微調整 |
| メニュー構成 | タブ型階層式 | 同上 | 項目追加あり(人物登録など) |
注目すべきは、UIの反応速度がわずかに改善されており、メニュー遷移や設定変更の際の「引っかかり」が減っている点です。動画・連写・人物認識など機能が多様化する中、素早く設定を変える必要があるシーンで、この操作性の微調整がじわじわ効いてきます。
また、R6初代ユーザーにとっては、Mark II → Mark IIIと進化してきた中で、「いつものボタン配置だけど、明らかに反応が良くなっている」と実感できる場面が多く、UI全体の“こなれ感”が出てきた印象です。
R5・R8と比較した際の立ち位置と選び方

R6 Mark IIIは、キヤノンのフルサイズミラーレスの中でも「中位クラス」として、上位のR5、下位のR8と綺麗に挟まれる形でラインナップされています。それぞれの機種には特徴があり、価格・性能・用途のバランスを見極めることで、自分に最適な1台が見えてきます。
このセクションでは、R5・R8との比較を通じてR6 Mark IIIがどんな立ち位置にあるのか、そしてそれぞれのユーザーにとってどんな機種が合っているのかを検討していきます。
価格差と機能のバランスから見る選び方
R6 Mark IIIは、R8より高価で、R5よりも安価なミドルクラスのモデルです。コストパフォーマンスを考慮したとき、機能のバランスが最も取れているのがR6 Mark IIIという位置づけになります。
| モデル | 実売価格(参考) | 有効画素数 | 動画性能 | AF性能 |
|---|---|---|---|---|
| EOS R8 | 約18万円 | 約2,420万画素 | 4K/60p(クロップあり) | 中程度 |
| EOS R6 Mark III | 約30万円 | 約3,000万画素 | 4K/120p・FHD/240p | 上位互換 |
| EOS R5 | 約45万円 | 約4,500万画素 | 8K/30p・4K/120p | プロ仕様 |
R8は「エントリーモデルとして優秀」で、コストを抑えつつ高画質を求める初心者向け。R5はプロフェッショナル仕様で、スタジオ撮影や商業利用に最適。R6 Mark IIIはその中間であり、予算30万円前後で機能を一通り押さえたい人には最もバランスの良い選択です。
高感度耐性・画質で見るベストバイはどれ?
画質面においては、単純な「画素数」だけではなく、高感度耐性・ノイズ処理・階調の滑らかさも重要なポイントです。特に暗所や夜景を多く撮影するユーザーにとって、ISO性能は機種選びの決め手になります。
| モデル | 常用ISO | 高感度性能(主観) | 適した撮影シーン |
|---|---|---|---|
| EOS R8 | ISO 100~102400 | ★★★☆☆ | 日中スナップ・旅行 |
| EOS R6 Mark III | ISO 100~102400 | ★★★★☆ | 人物・動体・全天候 |
| EOS R5 | ISO 100~51200 | ★★★☆☆ | スタジオ・商品撮影 |
R6 Mark IIIは、画素数が増加したにも関わらず、高感度性能が一定水準を維持されています。これはセンサー設計とノイズ処理アルゴリズムの改良によるもので、暗所にも強く、実用的な万能モデルとなっています。
R5は高画素すぎるため、ピクセルが小さく、高感度ではややノイズが目立つ傾向があります。夜景やライブ撮影などにはR6 Mark IIIの方が適しているケースも多いです。
用途別(静止画/動画)で考えるおすすめ機種
最後に「静止画に強い」「動画に強い」など、用途によってどのモデルがベストかを整理してみましょう。ここでは実際の撮影ジャンルごとに最適な1台を選ぶ際の目安をご紹介します。
| 撮影用途 | おすすめモデル | 理由・特徴 |
|---|---|---|
| 日常スナップ・旅行 | R8 | 軽量・低価格・画質も十分 |
| ポートレート・動体撮影 | R6 Mark III | AF強化・高感度性能・顔登録対応 |
| スタジオ・商品撮影 | R5 | 高画素・ディテール描写が優秀 |
| 本格的な映像制作 | R5 | 8K対応・LOG撮影・ヒートマネジメント |
| Vlog・短尺動画 | R6 Mark III | 4K/120p・プリ録画・軽快操作 |
このように、R6 Mark IIIは「一通りの機能が必要だが、極端なスペックは求めない」というユーザーにとってベストな選択肢になります。R5ほどの高価格帯に踏み込むのは難しいが、R8では少し物足りないという層にはぴったりの1台です。
まとめ

この記事のポイントをまとめます。
- R6 Mark IIIは約3,000万画素に進化し、解像感が大幅に向上。
- 高感度性能はR6に比べてやや劣化する可能性がある。
- 電子シャッター40コマ/秒の連写性能はバッファ拡張で実用性が向上。
- 積層センサー非搭載のため、ローリングシャッター歪みには注意が必要。
- 動画性能が4K/120p、FHD/240pに強化され、Vlogやショート動画に最適。
- 顔認識・登録AFにより人物撮影時のピント精度がさらに向上。
- ボタン配置やUIは従来モデルを継承しており、操作性は安定。
- R6シリーズからの乗り換えは、使用スタイルに応じて検討すべき。
- R5との価格差を考慮すると、R6 Mark IIIは高コスパな中堅機。
- 用途別に最適なモデルを選ぶためのバランス型ミドルクラス。
R6 Mark IIIは、静止画・動画の両方で高いパフォーマンスを発揮するバランス型のミラーレスカメラです。極端に尖った性能はないものの、あらゆるジャンルに対応できる器用さが魅力。R6初代やR8からのステップアップを考えている人、またR5は価格的に手が届かないがしっかりしたスペックが欲しいという人にとって、最適な選択肢の一つとなるでしょう。
使い勝手と性能のバランスを重視するなら、R6 Mark IIIは“買い”のモデルです。
